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【社労士監修】社会保険における扶養の定義と健康保険証の手続きについて

しゃろねこ
しゃろねこ

事業主の皆さんは、従業員の方から「家族の健康保険証が欲しい」と言われたことはありませんか?

従業員の方のライフイベント、例えばご結婚やお子さんが生まれたら、その家族が健康保険を使えるようにしたいと言われることがあります。

家族を扶養に入れるという話はなんとなく聞いたことがあるものの、どのような条件が必要になるのか、どんな手続きが必要になるのか、よくわかっていないという事業主の方も多いのではないでしょうか?

会社が加入する社会保険の被保険者(従業員)の方は、要件を満たせば家族を被扶養者にすることができ、家族に健康保険証が発行され、健康保険が使えるようになります。


家族を扶養にしたり、保険証を発行するにはどういった手続きが必要になるのか、全国健康保険協会管掌健康保険(以下「協会けんぽ」という)の手続きを中心に、社労士が解説いたします。

家族を扶養に入れるということ

法人や一定の要件を満たす事業であれば社会保険適用事業所となりますので、そこにお勤めの方は加入要件を満たす限り社会保険の被保険者となります。

被保険者の方はその報酬により毎月の保険料が決定し、会社と本人が折半でその保険料を負担します。

社会保険とは、ここでは健康保険と厚生年金保険を指していますが、まず、健康保険について、要件を満たしている場合は被保険者の被扶養者となることができます。被扶養者は毎月の保険料の納付をすることなく、医療機関で診察や治療などの医療給付を費用の3割の自己負担で受けられるなど様々な給付の仕組みがあります。

また、厚生年金保険については、被保険者の方の配偶者であり、20歳以上60歳未満で要件を満たす場合は被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)となることができ、厚生年金の保険料の納付をしなくとも、老齢年金などの受給ができるというしくみがあります。

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被扶養者の扱い、国保との違いについて

社会保険においては上記のような被扶養者という概念がありますが、例えば自営業の方が加入される都道府県や市町村の国民健康保険、または特定の業種の方(例えば医師など)が加入される国保組合ではこの「被扶養者」という概念はありません。国民健康保険においては生まれたばかりの赤ちゃんも被保険者となり、保険料の納付が必要となります。

家族などを被扶養者にするタイミング

一般的には被保険者の方が例えば結婚をし、配偶者の方を扶養に入れる場合や、お子さんが生まれた場合などが該当します。ただし、被扶養者となる方には条件がいくつかありますので、その要件を満たすかどうか確認が必要となります。

被扶養者となる方の条件

社会保険において被保険者の被扶養者になる場合については、被保険者とその対象となる方の続柄などにより、当てはまるかどうか細かな要件があります。

なぜならば様々な保険給付は、そもそも被保険者の方から徴収した保険料で賄っていますので、被扶養者となるには様々な厳しい要件が定められており、それに該当する方でなければ当然被扶養者にはなれません。

健康保険法における被扶養者となるための4つの必須要件

・住民票を有していること

日本国内に住所を有する場合であっても、日本国籍を有しておらず、医療目的)や長期観光で滞在する方は、被扶養者には該当しません。また、日本国内に住所を有しない海外在住の方でも特例的に被扶養者として認定される場合があります。

・被保険者により主として生計を維持されていること

・以下1)の収入要件を満たしていること

・以下2)の同一世帯の要件を満たしていること

1)収入要件

年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)であり、かつ

  1. 同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(※)
  2. 別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

(※)収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

また、この場合の年間収入とは、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいい、過去の収入ではありません。また、被扶養者の収入には、労働による賃金収入だけでなく、例えば雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。

2)同一世帯の条件

①被保険者と同居を要件とされない方

配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属

②被保険者と同居を要件とされる方

上記①以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)、内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

被扶養者にする手続きについて

社会保険の被保険者となった方に被扶養者がいる場合や、被扶養者の追加があった場合、事業主は「被扶養者(異動)届」を提出しますが、所轄の年金事務所や事務センターへ郵送や窓口へ持参する、電子申請などの方法があります。また届出の期限は発生から5日以内となっています。

その後、被扶養者として認定されれば、会社宛てに被扶養者の保険証が郵送されます。申請から郵送まではおよそ2週間ほどが目安です。

必要な添付書類について

以下2つについては被扶養者となろうとする全ての方が必要となります。

1)続柄確認のための書類

被扶養者の戸籍謄(抄)本または住民票の写し(被保険者が世帯主であり被扶養者と同一世帯である場合に限る)

※被保険者と被扶養者両方のマイナンバーが届書に記載があり、かつ、上記書類を事業主が確認をし、扶養認定を受ける方の続柄に相違がないことについて確認した旨を届書に記載している場合は添付不要となります。

2)収入要件確認のための書類

所得税法の規定による控除対象配偶者または扶養親族となっている場合で、事業主の証明があれば添付書類は不要となりますが、被保険者の税法上の控除配偶者の適用が受けられない場合は添付書類が必要となります。

添付書類の種類は被扶養者の状況により変わります。例えば退職したことにより収入要件を満たす場合は退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写しなどが該当し、年金受給中の場合は、現在の年金受取額がわかる書類などが添付書類に該当することとなります。

被保険者と別居している場合に必要な書類

被保険者からの仕送りの事実がわかる書類が必要になります。例えば預金通帳やネットバンキングの画面の写しで、実際の仕送り日や仕送り金額などの記載があるものを確認書類として求められることになります。

これらの書類により被扶養者として認められるかの審査が行われますが、それにより生計維持の確認ができない場合は、もちろん被扶養者として認められないことも当然にありますので、誰でも認められるわけではありません。

内縁関係の場合は被扶養者になれるのか

婚姻の事実はないが内縁関係にある場合でも、要件を満たす限りは被扶養者になることは可能です。被保険者と被扶養者の戸籍謄(抄)本、被保険者の世帯全員の住民票の添付が必要となります。

被扶養者ではなくなる場合はどんな時なのか

被扶養者の要件を満たさなくなった場合は手続きが必要になります。例えば被扶養者自身の年間収入が増加した場合や就職などをしたことにより、被扶養者自身が社会保険の被保険者となった場合、また、後期高齢者医療制度の被保険者となった場合、離婚をした場合などがあげられます。

被扶養者ではなくなった場合に行う手続きについて

被扶養者だった方が、被扶養者に該当しなくなった場合は、被保険者から連絡を受けた事業主が「健康保険被扶養者(異動)届」と被扶養者だった方の保険証を事実発生から5日以内に、所轄の年金事務所もしくは事務センターへ提出します。電子申請、郵送、窓口持参などで提出が可能です。

被扶養者に該当するのかどうか、定期的な再確認の実施がある

また、一度被扶養者と認められたとしても、収入などその状況に変化が生じれば、被扶養者の資格を喪失することも当然にあります。そのような変更があれば喪失に関する届出をしなければなりません。

また、協会けんぽでは保険給付の適正化を目的に、健康保険の被扶養者となっている方が、現在もその状況にあるかを確認する被扶養者資格の再確認の実施があります。 具体的には事業主及び加入者に対し、「被扶養者状況リスト」等の提出依頼があり、その実態を把握するための調査がありますので、事業主の皆様は必ず正しい被扶養者の加入条件を把握しましょう。

組合健保は被扶養配偶者の手続きに注意

組合健保の被保険者の被扶養配偶者については、該当した場合、該当しなくなった場合においては、事業主は「第三号被保険者関係届」を所轄の年金事務所や事務センターへ提出する必要があります。協会けんぽでは「被扶養者(異動)届」と様式が一体となっているため届出をし忘れることはないと思いますが、組合健保の場合はそうではないため、必ず忘れずに手続きをしましょう。

被扶養配偶者を外れた方の手続き

被扶養配偶者から外れた方ご自身が20歳~60歳であり、社会保険に加入しない場合は、その方自身が国民年金保険に加入する(国民年金第1号被保険者となる)手続きが必要になります。この手続きを忘れてしまうと国民年金に未加入となり、その後時効により保険料の納付が出来なくなることもあります。そうなれば、その間は保険料を納付していなかったということになりますから、将来の年金額が減ってしまうことや、最悪の場合は年金支給要件に満たないために無年金になることもあります。

事業主が行う手続きではありませんが、従業員へ忘れないように伝えてあげることも丁寧な対応ではないでしょうか。

さいごに

多くの会社にとって、従業員は事業の存続や発展に必要不可欠な存在です。人材不足と言われる中、安定して仕事と家庭生活が送れるような配慮は、今やどの企業も意識をしており、社会保険加入などは当たり前となりつつあります。また、家族の健康や老後の年金に関係する社会保険の手続きは、従業員の生活や将来に直結している大事なことです。このような手続きをおろそかにすることや、遅れること、間違った情報を伝えることなどは、従業員との信頼関係に問題が生じることも容易に想像ができますね。

社会保険は手続きの期日も非常に短く、また、被扶養者認定の書類についても、この場合はどの書類を回収すべきか?など、とてもわかりづらいものです。

ぜひ、専門家である社会保険労務士へご相談、ご依頼くださいませ。スムーズな手続きを通じ、従業員の方に喜んでいただきましょう。

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