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【社労士監修】有料職業紹介事業の新規許可申請の流れ

しゃろねこ
しゃろねこ

特別な設備などは必要なく、一定の要件を満たせば始められることや、近年の人手不足なども相まって、人材紹介事業を行う企業等は増加傾向にあります。

人脈が広くあり、様々な企業経営者と知りあう機会が多い方などは、「誰かいい人紹介して」とお願いされる場面もあるのではないでしょうか。このように人を紹介するということはあるかもしれませんが、実は人材紹介は国の許可を得なければ営むことができない業種となっています。

今回は有料職業紹介事業について前提となる様々なルール、許可申請の手続きについて、社労士が解説します。

職業紹介の事業を行う場合は厚生労働省の許可が必要

日本では「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と、中間搾取の排除について労働基準法第六条に定められています。よって、日本では職業紹介事業を営む場合、国に対する許可申請が必要となります。

特定の地方公共団体や学校等、特別の法人以外は、職業紹介事業を行う際は、厚生労働大臣の許可を得なければ職業紹介事業を営むことはできません。

有料職業紹介事業と無料職業紹介事業について

職業紹介事業者の中で、料金(手数料や報酬)を有料にする場合と無料にする場合とがありますが、いずれにせよ厚生労働大臣の許可が必要となります。無料だとしても許可を得ずに職業紹介事業を行うことはできません。金銭が発生しなければ問題はないと誤解していると許可を得ずに事業を営むこととなり、違法となるため注意が必要です。

職業紹介とは何を指すのか?

職業紹介についての法律は職業安定法に定められています。職業紹介の定義については職業安定法第四条に以下のように定められています。

①求人(報酬を支払って、自己のために他人の労働力の提供を求めること)

及び

②求職(報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすること)

の申し込みを受け、求人者と求職者との間における

③雇用関係の成立を

④あっせんすること(間をとりもち、円滑に成立するように第三者として世話をすること)

有料職業紹介業は、職業紹介に関し、手数料又は報酬を受けて行う職業紹介事業をいいます。(株式会社、有限会社、個人事業など)

紹介で禁止の業務の存在を理解する

有料職業紹介については港湾運送業務と建設業務については、紹介禁止となっています。

一方で、無料職業紹介については特に紹介禁止業務はありません。

有料職業紹介事業許可基準について

有料職業紹介事業の許可を得るには、様々な要件を満たしている必要があります。

法第 31 条第1項第1号の要件

申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有することが要件となります。また、以下のいずれにも該当し、有料職業紹介事業を的確、安定的に遂行するに足りる財産的基礎を有することも求められています。

  1. 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」とい う。)が 500 万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。
  2. 事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150 万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に 60 万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。

法第 31 条第1項第2号の要件

個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることや、業務の過程で得た求職者等の個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることなどが要件となります。

個人情報管理体制や事業運営体制など必要要件を満たした個人情報適正管理規程を定めていることなど様々な基準を満たす必要があります。

法第 31 条第1項第3号の要件

申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有することが要件となります。代表者や役員、職業紹介責任者について、また、事務所の要件についてなど様々な基準を満たす必要があります。

詳細については厚生労働省のサイト等で確認が可能です。

第3 許可基準 (mhlw.go.jp)

※職業紹介事業の許可基準のうち事業所に関する要件について、平成29年に改正があり、面積要件(おおむ ね 20 ㎡以上)に代えて、求職者及び求人者のプライバシーを保護するための以下いずれかの措置を講ずることとすることが新たな許可基準となりました。

・職業紹介の適正な実施に必要な構造、設備(個室の設置、パーティション等での 区分)を有すること。

・他の求職者又は求人者と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置(予約制、貸部屋の確保等)を講ずること。

職業紹介事業の許可基準の変更(令和4年10月1日施行)

職業安定法の改正により、求人等に関する情報の的確な表示や個人情報の保護に関するルールが変更され、それに伴い有料職業紹介の許可基準も改正がされています。

許可基準改正の内容

1)個人情報を適正に管理し、および求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることとして、以下の事項が追加されました。

①業務の目的を明らかにするに当たっては、求職者等の個人情報がどのような目的で収集され、保管され、または使用されるのか、求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明示すること。

②個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外 の者から収集し、または本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならないこと。

③求職者等本人の同意を得る際には、次に掲げるところによること。

・同意を求める事項について、求職者等が適切な判断を行うことができるよう、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること。

・業務の目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を収集し、保管し、または使用することに対する同意を、職業紹介の条件としないこと。

・求職者の自由な意思に基づき、本人により明確に表示された同意であること。

2)求人等に関する情報の的確な表示が義務付けられます

業務の運営に関する規程の要件について、「求人等に関する情報の的確な表示」に関する内容を含む業務運営規程※を有し、これに従って適正に職業紹介事業を運営することが必要です。

有料職業紹介の申請から許可までの流れについて

毎月1日付で許可がされますが、申請から許可までは2~3か月かかります。

審査が滞りなく進んだ場合はおおむね以下の流れとなります。

・申請書類の提出→受理月

・労働局内審査(実地調査や書類審査)→受理の翌月

・受理月の翌々月(厚生労働省内審査、労働政策審議会)→受理の翌々月 事業開始予定時期のおよそ2~3か月前までに、申請書類を申請者の所在地(申請者が法人の場合には、その主たる事 務所の所在地)を管轄する都道府県労働局へ提出します。提出は窓口、郵送、電子申請などがあります。

有料職業紹介事業の新規許可申請の費用について

・登録免許税9万円

・登録手数料5万円(職業紹介事業所が複数ある場合は追加毎に1万8千円が必要)

有料職業紹介事業の新規許可申請に必要な書類について

①有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号)3部(正本1部、写し2部)

②有料職業紹介事業計画書(様式第2号)3部(正本1部、写し2部)

③届出制手数料届出書(様式第3号)3部(正本1部、写し2部)

④添付書類2部(正本1部、写し1部)

添付書類について(法人の場合)

①法人に関する書類

・定款又は寄附行為

・法人の登記事項証明書

② 代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類

・住民票の写し(個人番号の記載のないもので、本籍地の記載のあるもの)

・履歴書

※職歴、賞罰及び役職員への就任、解任状況について記載の上、記名押印又 は署名が必要です。また、代表者及び役員が外国人である場合で、履歴書が外国語で記載されている場合は、その日本語訳が必要です。履歴書への写真の貼付は不要となります。

・職業紹介責任者講習受講証明書の写し(職業紹介責任者のみ)

※事業所ごとに専属の職業紹介責任者を職業紹介に係る業務に従事する者の数50人につ いて1人選任しなければなりません。また、職業紹介責任者として選任しようとする者に ついては、許可の申請に先立って「職業紹介責任者講習会」の受講が必要です。

③ 資産及び資金に関する書類

・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書

・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類 (貸借対照表から計算される基準資産が納税証明書及び確定 申告書により証明される場合は、残高証明書等は不要)

・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書(貸借 対照表から計算される事業資金が納税証明書及び確定申告書 により証明される場合は、残高証明書等は不要)

・最近の事業年度における確定申告書の写し(法人にあっては 法人税の確定申告書別表1及び4)

・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書

・最近の事業年度における株主資本等変動計算書

④ 個人情報の適正管理に関する書類

・個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程

⑤ 業務の運営に関する書類

・業務の運営に関する規程

⑥ 事業所施設に関する書類

・建物の登記事項証明書(申請者が所有している場合)

・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合)

⑦ 手数料に関する書類 ・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)

⑧ 相手先国に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合)

⑨ 取次機関に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合で あって、取次機関を利用する場合に限る。)

実地調査について

提出をした書類に基づき、実地調査があります。実地調査は抜き打ちではなく、事前に日程調整の連絡があります。主に事務所の要件について、提出した書類と実態が合っているかどうかが確認されます。

書類審査、実地調査共に問題がなければ、所轄の労働局から本省へ書類が回り、許可証発行、交付という流れとなります。

許可有効期間について

有料職業紹介事業の許可の有効期間は、新規については3年となりますので、新規許可申請から3年後に、更新申請を行います。更新についての有効期間は5年となります。

事業報告

 職業紹介事業報告書については、職業紹介の実績の有無にかかわらず、毎年4月30日までに提出することが全ての事業主に義務付けられています。(紹介実績がない場合でも提出は必要です。所轄の労働局へ窓口、郵送電子申請などで提出が可能です。

職業紹介には該当しない「募集情報等提供」について

募集情報等提供とは、労働者の募集に関する(求人)情報又は労働者になろうとする者に関する情報(求職)について、依頼を受けて、又は自ら収集し、提供することをいいます。これらの情報を提供するのみで、求人及び求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんを行わない場合は職業紹介には該当しませんので、職業紹介許可等の手続は必要ありません。

しかし、その線引きが難しい業務が含まれるようであれば、労働局等に確認をした上で、正しい許可を得て運営をしなければ、違法になるものも中にはありますので、注意が必要です。

罰則について

許可を得ずに有料職業紹介を行った場合や、更新をせずに有効期限が切れているのにも関わらず、有料職業紹介を行った場合は、懲役1年以下または100万円以下の罰金に処される旨が職業安定法第64条に定められています。

最後に

職業紹介事業に関する手続きについては、職業安定法が根拠法令となり、社会保険労務士が専門となります。また、職業紹介事業で扱う内容は労働および雇用に関するものになります。人を雇う、人が働く、ということに関与する職業紹介事業の新規許可申請は、労働に関する専門家である社会保険労務士にご相談ください。スポットでのご相談やご依頼など様々なサービスをご用意しております。どうぞお気軽にご連絡くださいませ。

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この記事を監修した人

社労士

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