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【社労士監修】36協定と割増賃金(残業手当)について

しゃろねこ
しゃろねこ

「従業員の労働時間と割増賃金」について、詳しく理解している事業主は少ないのではないでしょうか。また、どうやって決めなければならないかを理解しないまま、なんとなくの金額で決めている方も多いのではないでしょうか。

たとえば、漠然と30万円ぐらいを労働者へ支払おうと考えていたとして、それが手取りなのか、会社が負担する社会保険料も含む人件費なのか、また、業務によっては時間外労働、いわゆる残業が発生する場合、残業手当も含んでいる額なのか、賃金を決定する時に考えなければならない点はいくつもあります。

実は賃金を決定する際に重要なポイントは労働時間の管理となります。

残業手当もしっかり払っていると思っていても、実は未払い残業代が発生していたというケースは本当に後を絶ちません。

今回は残業手当と密接に関係する労働時間、加えて計算のルールについてもお伝えし、安心して労働者の雇用管理をしていただけるよう、皆様のご理解を深めていただければと思います。

割増賃金は、長時間労働を抑制するための事業主へのペナルティ

時間外労働などがあった場合に割増賃金の支払いが必要ですが、事業主が労働者の労働時間を正確に把握していることが前提となります。

長時間労働は労働者の健康に重大な問題を引き起こす可能性が高く、割増賃金の支払いをもって、労働者の長時間労働を抑制し、労働者の健康や安全を守っているという意味があります。

よって、たくさん働いたから割増賃金を支払わされているという理解では足りず、「法律で決められた労働時間を超えて働かせてしまった事業主へのペナルティ」として、割増賃金の支払いが発生する、というのが正しい理解となります。

36協定と時間外労働(残業)の関係

36協定を提出せずに、残業させることはそもそも「違法」

残業が発生すれば、割増賃金(残業手当)を支払わなければならない、という理解をしている方はいるかと思いますが、「払っていれば特段問題はない」という誤解をしている方も多いのが実際です。

そもそも労働基準法では、法律で決められた労働時間を超えて働かせてはいけない、という定めがあります。とはいえ、突発的な業務対応や、サービス業などどうしても長時間労働となってしまう業種や職種もあり、まったく残業時間を発生させないということは現実には難しいです。

ではどうすればよいのでしょうか?

36協定とは

残業が発生する「全ての事業所」が「必ず」出さなければならない協定書「36協定」を労使で締結し、届け出をすれば、労働者が残業をしても違法ではなくなります。

 労働基準法第36条から略してそう呼ばれていますが、正式名称は「時間外・休日労働に関する協定書」といいます。

労使協定は様々なものがありますが、本来労使協定は免罰効果を与えるものです。要は、違法であるものを、労使の間で協定を結ぶことで、その協定の定める内容までは規制が解除される効果があります。

雇用区分がパートでも、労働者が一人でも、週1日勤務だったとしても、法律で定められた時間を超える時間外労働および休日労働を命じる場合には、労使間で署名による協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

とはいえ、労使間で合意すればどんな内容でも認められるわけではありません。

36協定の上限と特別条項

36協定では、働かせることができる時間外労働や休日労働について1か月45時間、年間で360時間が、残業時間の上限であると定められています。また1年変形労働制を導入している場合にはさらに厳しい決まりがあります。

また、事業所内で適用される職種の範囲や協定の有効期限など細かく決める項目もあります。また、36協定には特別条項というものがあり、繁忙期などで36協定の限度時間を超える労働が必要な場合には特別条項付きの36協定を届け出ることが必要となります。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。

・ 時間外労働が、年720時間以内


・ 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満


・ 時間外労働と休日労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平 均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内


・ 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

36協定を労働基準監督署に届出をせずに労働者に時間外労働をさせることはできませんので、届け出状況の確認を必ず行ってください。

36協定違反の罰則、罰金

会社が36協定を締結せず、法定労働時間を超えて労働させ、または法で定められた休日を与えなかった場合の罰則は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(労働基準法第119条1号)です。罰則の対象は労働者本人ではなく、「使用者」(要は事業主)となります。

残業手当を適正に支払うためには、労働者の労働時間の把握が不可欠

まず、賃金の基本的な考え方は、当然ですが、ノーワークノーペイです。

働いた時間分は支払いをしなければならず、働いていない時間については賃金の支払い義務はありません。

また、どのような賃金形態であっても、労働者の労働時間の把握や管理は事業主の責務であり、たとえ固定残業手当を支払っていたとしても、何時から何時までが通常の労働時間で、何時から何時までが時間外労働になるのかなど、その明確区分性が問われることになるため、もしこの区分が不明瞭であれば、残業手当を支払ったと認められない、という裁判例もあります。

正しい割増賃金計算を行うためにも、労働者安全衛生法における事業主の安全配慮義務の視点からも、労働時間を把握できていないことは大変問題となります。

労働時間の呼称、休憩や休日などについて理解を深めていきましょう。

労働時間3つの種類

法定労働時間

労働基準法に定められている労働時間をいい、原則は労働基準法第32条で1週間40時間(特例措置対象事業場については、1週44時間)、1日8時間と決まっています。

また、一定の条件を満たした場合には1ヶ月を平均して1週40時間にする制度(1ヶ月単位の変形労働制)や1年の労働時間を平均して1週40時間にする制度(1年単位の変形労働制)があります。

原則は法定労働時間を超えて働かせることはできず、働かせてしまうことは、違法となります。

所定労働時間

事業所ごとに決める労働時間をいいます。例えば、始業は9時、休憩は12時から13時、終業は17時、という具合に、それぞれの事業所で働く時間のルールを決めることができます。もちろん、法定労働時間である1日8時間、週40時間におさまっていなければなりません。

実労働時間

実際に働いた時間のことを指します。

休憩時間、法定休日、所定休日の定義について

賃金についてはノーワークノーペイが原則ですので、休憩時間、法定休日、所定休日に対しては賃金の支払い義務がありません。

一方で、労働者は労働から完全に解放されていることが必要になりますので、休憩時間中に電話番で待機をさせたり、休日に突発的にトラブルが発生した際の待機をさせたりした場合は、たとえ待機のみで実際の電話応対等の業務がなかったとしても、これは労働から解放されているとは言えませんから、当然賃金の支払い義務が発生します。

休憩

労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分 8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています。

労働時間が6時間以下であれば休憩を与える必要はなく、労働時間が10時間を超えていても1時間の休憩を与えていれば問題はありません。

法定休日

労働基準法第35条で、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定められています。

所定休日

それぞれの事業所で法定休日に加えて決める休日となりますので、任意で決めることができます。どの休日を法定休日として扱うかは会社の自由です。仮に法定休日を特定の曜日に設定しなくても違法ではありません。しかし、特定の曜日を法定休日と定めておく方が賃金計算も明確になり、業務上も管理しやすくなるでしょう。

法定内残業と法定外残業の違いについて

残業には割増賃金の支払いが必要な法定外残業と、割増賃金の支払いが不要な法定内残業の2種類があります。

法定内残業

「法定内残業」とは、会社が定めた「所定労働時間」を超え、「法定労働時間」内におさまっている労働のことを指します。

法定外残業

「法定外残業」とは「法定労働時間」を超えて働いた労働のことを指します。

すなわち、1日8時間、週40時間を超えた場合に「法定外残業」とみなされ、割増賃金を支払わなければいけません。

例えば、始業時間が9:00、休憩時間が12:00から13:00、終業時間が17:00の会社の場合は「所定労働時間」は7:00となります。この会社の場合、17:00を超えた労働が「法定内残業」となり、18:00を超えた労働は「法定外残業」として扱われます。

「法定内残業」について割増賃金を払うか否かは、労働基準法で明確な定めがないため、就業規則などで明確に定めておくと良いでしょう。

時間外労働・休日労働、深夜勤務に対する賃金の割増率について

法定労働時間を超えてさせる時間外労働、法定休日にさせる休日労働、午後10時から午前5時までの深夜労働に対し、割増賃金の支払いを義務づけています。労働基準法第37条に規定される割増賃金が発生するのは以下に該当する場合です。

法定労働時間を超える労働(時間外労働に対する割増賃金)

割増率は25%以上です。

また、その月の法定時間外労働が60時間を超えた場合、それ以降の法定時間外労働には50%の割増が適用されます。この場合、深夜割増と重なったら割増率は75%以上となります。

また、所定休日に勤務し、法定労働時間を超える労働であった場合もこちらの割増率が適用されます。

法定休日の労働(休日労働に対する割増賃金)

割増率は35%以上です。

法定休日に労働した労働者に対しては休日割増が適用されます。前述のように、所定休日の出勤では休日割増は発生しません。同じ休日でも、法定休日なのか所定休日なのかで割増率が変わりますので注意が必要です。

深夜労働(深夜割増)

割増率は25%です。

深夜の時間帯(22時~翌5時)に労働している労働者に適用されます。

深夜割増は深夜労働を行った全ての労働者に適用されます。一部の管理職のような法定労働時間や法定休日の適用除外に該当する労働者は適用除外となります。

割増賃金の計算方法について

割増賃金はその適用される時間に対して割増率がかけられて計算をされますので、まず、通常の勤務をした場合の時間給を求めることで割増賃金の計算ができます。

賃金区分が時間給の場合

通常の業務をした場合の1時間当たりの賃金(時間給)に対して、該当する割増賃金の割増率をかけて算出します。

例1000円x1.25=1250円が時間外労働に関する割増時間給となり、法定労働時間を超えて労働した時間数にかけることで、割増賃金を算出できます。

賃金区分が日給の場合

まず、通常の業務をした場合の時間給を算出します。日給8000円で8時間労働でしたら、8000円÷8時間=1000円が時給となります。割増賃金の計算については上記1)と同様です。

上記1)と同様です。

また、割増賃金の計算の基礎に含めない手当には、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、などがあげられます。

固定残業手当を適用する場合の注意点

月額5万円を固定残業手当として支給するなど、毎月の計算の手間がないという利点はありますが、固定残業手当を導入する場合は、いくつかの注意が必要です。

1)その手当は何時間分の割増賃金であるかを、基本給と明確に区分できること

2)手当分の時間外労働を超える場合は、その分を支給すること

3)これらを就業規則や賃金規定、雇用契約書などに明記すること

などがあげられます。

時間や金額の端数処理には、賃金全額支払い違反の可能性が生じるので注意

労働基準法第37条で認められている端数処理方法は次のとおりです。誤ってしまうと場合によっては支払うべき金額より少なくなってしまうこともあり、そうなれば未払い賃金が発生してしまうことにもなりかねません。計算のルールとして就業規則などに定めておくことをお勧めします。

1)割増賃金の計算

1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。 1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、上記と同様に処理する。

2)平均賃金の計算

賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てる。なお、平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理は上記と同様に処理する。

3)1か月の賃金計算

1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことができる。

1か月の賃金額に1000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払い日に繰り越して支払うことができる。

いかがでしたでしょうか?

今回は残業手当を支払うために必要な労働時間のことについてご説明しましたが、ご理解いただけたでしょうか?

残業手当を十分払っているつもりでも、しっかりとした労働時間の把握をしていないがために、労働者から未払い残業代を請求されることも多くあります。賃金についてはどの手当に何が含まれているのかをしっかりと明記した雇用契約書を取り交わすことや、賃金の計算方法のルールなどを定めておくことはとても重要になってきています。

今はインターネットで検索をすれば、難しい法令も易しい言葉で解説しているサイトも多くあり、労働者も自身の労働条件の確認などをすぐにできる環境にあります。

余計な心配をお互いにせず、また法令を遵守した雇用環境を提供することは、人材定着など事業経営の安定だけでなく、先々のリスクヘッジにもつながります。

ぜひ、正しい届出や手続きなどを守る意識を、事業主の皆様にはお持ちいただければと思います。

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この記事を監修した人

生島社労士事務所代表

生島 亮

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