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算定基礎届とは?時期や提出先・作成方法を分かりやすく解説。担当者が押さえておくべき知識

しゃろねこ
しゃろねこ

社会保険に加入している事業主の皆様は毎年7月10日までに、9月からの社会保険料を更新するための届出をする必要があることをご存知でしょうか。

社会保険料は加入する人のその報酬に基づいて保険料額が定められていますが、ずっと同じお給料の方もいれば、昇給や業務内容の変化などでお給料が変わることもあります。よって毎年7月に、社会保険加入者の報酬額について届出をすることで、正しい社会保険料に更新をすることができるしくみ、それが算定基礎届です。

では、実際にどんな流れで、事業主は何をしなければならないのか、社会保険労務士が解説いたします。

社会保険料の定時決定の概要

事業主は、7月1日現在で使用している「社会保険に加入している被保険者および70歳以上の被用者」について、4月、5月、6月の報酬をもとに算定基礎届を作成し届出をします。

この届出内容に基づき、毎年1回、社会保険料額の決定の元となる標準報酬月額が決定し直されます。これを算定基礎届といいます。

これを行うのは、「被保険者および70歳以上被用者」の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、毎年1回見直しをするためとなります。

この決定された標準報酬月額は、毎月の社会保険料額として原則その年の9月から翌年8月までの各月に適用されるほか、将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。

算定基礎届の大まかな流れ

届出用紙(被保険者報酬月額算定基礎届)

※(以下算定基礎届とします)は、6月中旬ごろから事業所あてに郵送されてきます。この届出用紙には、5月中旬頃までに届出された被保険者の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額等の印字があります。

対象者の4,5,6月の報酬月額を集計し、算定基礎届を作成します。
提出期限は毎年7月1日~10日となります。

※10日が土曜または日曜の場合は翌営業日が提出期限

提出方法は、電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参などがあります。
提出先は所轄の年金事務所などになります。
算定基礎届を提出後に「標準報酬月額決定通知書」が届いたら、通知書の内容を被保険者へ通知し、給与控除額などに変更があれば対応をします。

算定基礎届の対象者の範囲について

算定基礎届の対象者については、7月1日に在籍している被保険者および70歳以上の被用者ですが、以下の方については対象外となります。

算定基礎届の対象外となる方

①6月30日までに退職した従業員

②6月1日以降に被保険者となった従業員

6月以降の入社や、労働時間の変更などから社会保険適用対象者となったことにより被保険者となった方は、資格取得時の決定により翌年8月までの標準報酬月額が決定しているため、算定基礎届の対象外となります。

③7月改定の月額変更届を提出する従業員

4月の昇給などで、4月〜6月に支払われた報酬の平均と、現在の標準報酬月額に大きな差がある場合、7月に月額変更届の提出による随時改定を行ってください。

④8月、9月に随時改定が予定されている従業員

上記③同様の事情により、8月または9月の随時改定に該当する場合には、定時決定ではなく「月額変更届」の提出が必要となります。

上記③および④の方について

・紙で届いた算定基礎届の報酬月額欄は記入せず空欄とした上で、備考欄「月額変更予定」を○で囲んで提出します。

・電子媒体申請および電子申請の場合は、上記③および④の対象者を除きます。

・上記④の方について、もし随時改定の要件に該当しないことが判明した場合は、速やかに算定基礎届を提出する必要があります。

算定基礎届を作成する際の「報酬月額」について

・報酬に含めるもの、含めないものがあります。

・通貨で支払われるものと現物支給のものとがあります。

報酬に含めるものと含めないもの

算定基礎届を作成する際に、記載する各月に支払われた標準月額を算出するにあたり、対象となる報酬とならない報酬があります。

対象となる報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものを含みます。

また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。 ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与(※年3回以下支給されるものは標準賞与額の対象)などは、報酬に含みません

通貨で支払われるものと現物支給のもの

また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など「現物で支給されるもの」も報酬に含まれます。

例えば、通勤定期券の場合はその全額が対象となります。そのため、3ヶ月・6ヶ月単位の通勤定期券は、1ヵ月あたりの額を算出して報酬に含みます。食事を支給している場合は、厚生労働大臣が都道府県ごとに定めた価額に換算して算出します。ただし、1/3以下を従業員が負担している場合は、本人負担分を差引いた額を算入します。社宅や寮を提供している場合は、厚生労働大臣が都道府県ごとに定める価額に換算して報酬を算出します。

報酬に含まれるもの

1)金銭(通貨)で支給されるもの

基本給(月給・週給・日給など)、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手 当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿 直手当、家族手当、扶養手当、休職手当、 通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業 手当、継続支給する見舞金、年4回以上の賞与など。

2)現物で支給されるもの

通勤定期券、回数券、食事、食券、社宅、寮、被服(勤務服でないもの)、自社製品など。ただし、臨時に支払ったものや、年3回以下で支給した賞与(※年3回以下支給されるものは標準賞与額の対象)などは含まれません。

報酬に含めないもの

1)金銭(通貨)で支給されるもの

大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当金、 労災保険の休業補償給付、年 3 回以下の賞与(※年3回以下支給される賞与は標準賞与額の対象になります。)など

2)現物で支給されるもの

制服、作業着(業務に要するもの)、見舞品、食事(本人の負担額が、厚生労働大臣が定める価額により算定した額の 2/3 以上の場合)など

算定基礎届を作成するときの注意点

算定基礎届では、その方の4~6月の給与の支払い金額の合計額を対象月数で割った金額をもとに保険料額が決まりますが、例えば欠勤や入社などがあった場合はお給料がそもそも少なくいので、一律同じ月数で割るのでは、算定するタイミングで保険料が安い人高い人が出てしまうので、計算方法に不公平が生じます。

そうならないためにも「支払い基礎日数」を基本とするルールがあります。

支払い基礎日数とは

支払基礎日数とは、その報酬の支払い対象となった日数のことをいいます。

対象者の4、5、6月それぞれの支払基礎日数が何日かによって、3か月分で算出したり、2か月分で算出したり対象から外れる月があったりと、記載のルールが変わります。

  • 月給制・週給制の場合

出勤日数に関係なく暦日数になります。ただし、欠勤日数分だけ給料が差し引かれる場合は、就業規則、給与規程等に基づき事業所が定めた日数から、欠勤日数を控除した日数となります。

  • 支払基礎日数による対象月の例

①支払基礎日数が3ヵ月とも17日以上の場合は、3ヵ月すべてが対象となります

②支払基礎日数に17日未満の月がある場合は、支払基礎日数が17日以上の月を対象とします。

例)支払基礎日数が4月は19日、5月は15日、6月は21日だったとしたら、4月と6月が対象月となります。 ③給与の支払対象となる期間の途中から資格取得したことにより1ヵ月分の給与が支給されない場合は、1ヵ月分の給与が支給されない月(途中入社月)を除いた月を対象とします

  • 時給制・日給制の場合

実際の出勤日数(有給休暇も含みます。)が支払基礎日数となります。

短時間就労者と、短時間労働者などが該当することが多く、その詳細は以下となります。

短時間就労者(パートタイマー)

1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、通常の労働者と比較して4分の3 以上である被保険者のことです。

  • 支払基礎日数による対象月の例

①支払基礎日数が17日以上の月がある場合支払は、基礎日数が17日以上の月を対象とします。

②支払基礎日数がすべて17日未満だが15、16日の月がある場合は、支払基礎日数が15、16日の月のみを対象とします

短時間労働者

1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、1ヵ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合で、次の要件を全て満たす方が該当になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上あること
  • 雇用期間が2か月以上見込まれること(※)
  • 賃金の月額が8.8万円以上であること
  • 学生でないこと
  • 特定適用事業所(※)または国・地方公共団体に属する事業所に勤めている

(※)令和4年10月より雇用期間が2ヵ月を超えて見込まれること、特定適用事業所は被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所が該当となりました。

  • 支払基礎日数による対象月の例

①支払基礎日数が3ヵ月とも11日以上の場合は、3ヵ月が対象となります

②支払基礎日数に11日未満の月がある場合は、支払基礎日数が11日以上の月を対象とします。

一般的な定時決定ではない例外的な方法について

例えば、病気等による欠勤などでいずれの月も全く報酬を受けない場合は、従前の標準報酬月額で決定します。また、4、5、6月の給与の平均額から算出した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までの給与の平均額から 算出した標準報酬月額」に2等級以上の差が生じ、その差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合前年の7月から当年の6月までの給与の平均額から算出した標準報酬月額で決定することができます。

算定基礎届の対象となる二以上の事業所に勤務する方の届出について

同時に二以上の事業所に勤務する方の標準報酬月額は、各事業所から受ける報酬を合算して決定され、各事業所における保険料は、各事業所から受ける報酬の割合により按分して計算されます。二以上の事業所に勤務する方の算定基礎届は、選択事業所を管轄する事務センターから各事業所に送付されます。送付された算定基礎届は、選択事業所を管轄する事務センターに提出します。

算定基礎届を提出しないとどうなるのか?

算定基礎届をしないということは、実態と正しい社会保険料を納付できないことが、まずあげられます。そうなると従前の報酬月額などで認定決定されることとなります。また、実態よりも高い保険料を支払うことになれば会社や従業員の負担額が多いままになってしまいます。また、実態より低い保険料を支払うことになれば、遡及請求となり後にまとまった額を徴収されることや、従業員が将来貰える年金額が少なくなるなどの影響が考えられます。

年金事務所では、事業所を対象に定期的に調査を実施していますので、調査の実施があった際に実態と違うことがわかれば、何年も遡及して定時決定をやり直すこととなり、給与支払い控除の過不足の調整など、作業は膨大になることも考えられます。

事業主が事前に整備しておきたいこと

算定基礎届は毎年7月1日から7月10日の間に行うきまりがあり、期間としてはとても短いです。また。この時期の年金事務所は大変込み合いますので、準備等でわからないことがあったとしてもなかなか問い合わせ窓口への電話がつながらないということも考えられます。また、4月から6月までの賃金支払いが確定しなければ対応は出来ませんが、昇給の賃金台帳反映漏れがないか、通勤費の改定の有無などをあらかじめ確認しておくなど、できることは早めに着手していきましょう。そして、わからないことがあれば早めに解消をしておきましょう。

さいごに

定時決定における算定基礎届の作成及び提出は、労働保険料の年度更新と同様、年に1回の作業となります。年度更新同様、どうやるのかを毎年思い出すことに頭を悩ませる事業主の方も多いのではないかと思います。そもそも入退社がそれほど多くない事業主の方であれば、このような手続きこそ顧問契約を不要とするスポット手続きを活用されてはいかがでしょうか?もちろんご希望があれば顧問契約も対応しております。ぜひご検討ください。

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