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【第2回】育児休業取得時の両立支援助成金を解説

この記事では、両立支援助成金でも特に申請が多い育児休業をした場合の内容や事業主による助成金申請までの流れのほか、注意点や支給されないケースなどについて解説します。両立支援助成金 育児休業支援コースは主に4つの助成金で成り立っておりますので、まずは全コースの概要をご参照ください。

※この記事に示す全ての「育児休業の開始日」は、産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、「産後休業の開始日」に置き換えてください。

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両立支援助成金 育児休業取得時の概要

「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の円滑な育児休業の取得に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主に支給します。

従業員が育児休業を取得した場合に

A 休業取得時 28.5万円

※1事業主2人まで支給(無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人)

主な要件

A:育休取得時

  • 育児復帰支援プランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ労働者へ周知すること。
  • 労働者との面談を実施し、プランを作成すること。
  • プランに基づき、対象労働者の「育児休業の開始日」の前日までに、業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に、連続3か月以上の育児休業を取得させること。

支給申請までの流れ

「両立助成金」支給申請までの流れは以下のとおりです。

「一般事業主行動計画」の作成・提出

申請時において行動計画が有効

就業規則などの改訂

(育児休業規定がない場合)

育児休業の取得及び職場復帰についてのプランを労働者に周知及び業務の引継ぎ

対象従業員との面談

連続3か月以上の育児休業の付与

支給申請
育児休業を開始した日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内

支給要件

対象事業主(共通)

次の条件のすべてに該当する事業主が対象です。

  • 中小企業事業主であること
  • 育児休業の制度及び育児のための短時間勤務制度について、対象労働者の育児休業開始前に労働協約又は就業規則に規定していること。
  • 一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ていること。

対象事業主(育休取得時)

  • 支給対象となる育児休業の制度内容及び手続について、労働協約又は就業規則に規定していること。
  • 育児休業の取得及び職場復帰について、「育児休業の開始日」の前日までにプランにより支援する方針をあらかじめ全労働者へ周知していること。
  • 育児休業取得者の「育児休業の開始日」の前日までに、上司と面談を実施した上で結果について「面談シート」に記録し、当該面談結果を踏まえて対象育児休業取得者のためのプランを作成すること。
  • 育児休業取得者の「育児休業の開始日」の前日までに、作成したプランに基づいて業務の引継ぎを実施させていること。
  • 連続3か月以上の育児休業を取得させたこと。
  • 育児休業取得者を、当該育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業を含む)の開始日において、雇用保険被保険者として雇用していること。
  • 育児休業取得の直前において在宅勤務している場合については、、在宅勤務規定を整備し、業務日報等により勤務実態が確認できること。

支給申請期間

育児休業を開始した日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内に申請してください。

申請期間の注意点

一般事業主行動計画を提出しているか

育児休業前に取るべき措置を行っているか

支給申請に必要な書類等(育児取得時)

申請書類

  1. 支給申請書
  2. 支給要件確認申立書
  3. 面談シート
  4. 育児復帰支援プラン
  5. プランの周知された日付が分かる書類
  6. 就業規則
  7. 雇用契約書
  8. 育児休業申出書
  9. 「育児休業前1ヵ月及び育児休業期間3ヵ月分」の出勤簿と賃金台帳
  10. 母子手帳
  11. 一般事業主行動計画

育児休業取得時・職場復帰時におけるQ&A

育休復帰支援プランに、業務の整理と引継ぎに関する措置のいずれか一方しか記載がない場合、当該プランは支給要件を満たすプランと言えるか?
問題ない。
育休復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得及び職場復帰を支援する措置を実施する方針の規定については、いつまでになされている必要があるか。また、就業規則や実施要領、通達等への規定でなくても差し支えないか。
当該周知については、
①対象育児休業取得者が、産前休業の終了後、引き続き産後休業及び育児休業をする場合には産前休業
②対象育児休業取得者が、産後休業の終了後、引き続き育児休業をする場合には、産後休業
③上記以外の場合は、育児休業の開始日の前日までになされている必要がある。
形式については、規定及び周知した日付が確認できれば、就業規則等への規定でなくても差し支えない。
対象労働者について、育休取得時の助成金を受給していない場合であっても、職場復帰時の助成金を受給することは可能か。
不可能。
同一事業主の事業所に勤務する父母が、同一の子の育児を理由に育児休業を取得する場合、それぞれについて支給申請は可能か。
可能である。(業務代替支援も同様)
育児休業を取得予定の労働者が、切迫早産の恐れがあり入院している等の理由で、休業開始前までに直接プランの策定や業務の引き継ぎのための面談を実施することが難しい場合の対応方法如何。
対象育児休業取得者が休業中等の理由で対面での面談の実施が難しい場合は、労働者の希望やニーズ等を踏まえ、メールや電話等により労働者にとって負担のない方法で実施しても差し支えない。
「職場復帰時」は育児休業終了後の6か月の間に雇用形態や給与形態の不合理な変更を行っていないことが要件となっているが、例えばどのような場合が不合理な変更に該当するのか。
育児休業を取得したことや育児のため時短勤務をしていること等を理由として、本人が希望しない雇用形態や給与形態への変更を強要する場合等が該当する。
「育児休業に係る子がいることを確認できる書類」について、国外の病院が発行した出産証明書等は認められるか。
認められる。

おわりに

「両立支援助成金 育児休業取得時」は両立支援助成金の導入です。こちらを申請しなければ、次の職場復帰時助成金は受給できません。ですから、まずはこちらをきちんと申請できるように注意事項をチェックしましょう。

また、育児休業を始める前に行うことが多数あるのがポイントです。育児休業を始めてしまった後ではもう申請できなくなってしまうため、少なくとも数か月前にはプランを作っておきましょう。

この記事を書いた人

生島社労士事務所代表

生島 亮

いくしま りょう

https://syarou-shi.com/

18年の会社経営で叩き上げられた人事・労務ノウハウを駆使し、経営者さまと同じ視座で考え、人と企業を育てていくという思いで、労務トラブルや労務リスクの不安の解消を精一杯お手伝いさせていただきます。